
日本のオノマトペ① 気持ちを表す「ワクワク・ドキドキ・キラキラ」

今日のテーマ
日本語には、気持ちや様子をやさしい音で表すことばがたくさんあります。 それを「オノマトペ」と言います。
- うれしいときの「ワクワク」
- きんちょうしたときの「ドキドキ」
- 目がかがやくときの「キラキラ」
これらは、日常会話・アニメ・歌・広告などに毎日のように出てきます。 今日は、気持ちを表すオノマトペを7つ選んで、いつ使うかとどう違うかを、例といっしょに学びます。
オノマトペとは?
オノマトペは、音や様子をことばにしたものです。 日本語には大きく2つの種類があります。
| 種類 | 表すもの | 例 |
|---|---|---|
| 擬音語(ぎおんご):音をことばにしたもの | 実さいに聞こえる音 | ワンワン(犬の声)、ザーザー(雨の音) |
| 擬態語(ぎたいご):様子をことばにしたもの | 様子・気持ち | ワクワク(楽しみ)、キラキラ(光る感じ) |
今日のテーマは、気持ちを表す擬態語です。 音は鳴っていなくても、心の動きを音のように表すことばです。
今日おぼえる7つのことば
まずは一覧で見てみましょう。
| ことば | 表す気持ち | 一言で言うと |
|---|---|---|
| ワクワク | 楽しみ・期待 | 良いことが起きそうで、心がはずむ気持ち |
| ドキドキ | きんちょう・ときめき | 心ぞうが速く動いているような感じ |
| ハラハラ | 心配 | うまくいくか心配で、落ち着かない気持ち |
| イライラ | いかり・思いどおりにならない感じ | きげんが悪くなる気持ち |
| ニコニコ | わらい・きげんがいい | 顔がやさしく笑っている様子 |
| キラキラ | 光って見える様子 | 星や目などが光って見える感じ |
| ふわふわ | 軽やか・おちつかない | 雲やパンのような軽い感じ、または気持ちが落ち着かない感じ |
それぞれ、もう少し詳しく見ていきます。
① ワクワク
意味: 楽しみで、心がはずむ気持ち。
良いことが起きそうなとき、これから始まることが楽しみなときに使います。 ポジティブな気持ち専用のことばです。
例文:
- 明日のパーティーが、ワクワクします。
- 新しい本を読むのが、ワクワクする!
- 子どもたちは遠足の前日、ワクワクしていました。
使い方のヒント: 「ワクワクする」「ワクワクしている」の形でよく使います。
② ドキドキ
意味: 心ぞうが速く動くような気持ち。きんちょう、または好きな人の前での「ときめき」。
「こわい」「不安」と「うれしい」「すき」の両方で使えるのが特徴です。 場面で意味が変わります。
例文:
- 試験の前は、ドキドキします。(きんちょう)
- 好きな人と話すと、ドキドキする。(ときめき)
- ジェットコースターに乗って、ドキドキした。(こうふん)
ワクワクとの違い: 「ワクワク」は楽しみだけ、「ドキドキ」はきんちょう・こわさ・恋などもふくみます。
③ ハラハラ
意味: うまくいくかしんぱいで、見ていて落ち着かない気持ち。
自分のことよりも、他の人やものごとを見ていて心配なときによく使います。
例文:
- 子どもが高い所にのぼっていて、ハラハラした。
- 試合の終わりまで、ハラハラする展開でした。
- 発表を聞きながら、ハラハラドキドキしていた。
ドキドキとの違い: 「ドキドキ」は自分の心ぞうの感じ、「ハラハラ」は心配して見守る感じです。
④ イライラ
意味: 思いどおりにならず、機嫌が悪くなる気持ち。
電車が来ない、人を待つ、うまく言えない、など思いどおりに進まないときに使います。
例文:
- 電車がなかなか来なくて、イライラする。
- パソコンがおそくて、イライラしてしまった。
- お腹がすくと、イライラしやすい。
注意: 強い気持ちの表現なので、相手の前で「あなたにイライラする」と言うのは失礼になりやすいです。気をつけて使いましょう。
⑤ ニコニコ
意味: 機嫌がよくて、顔がやさしく笑っている様子。
声を出して笑う「ハハハ」とはちがい、静かに、ずっと笑顔でいる様子を表します。
例文:
- 先生はいつもニコニコしています。
- プレゼントをもらって、ニコニコ顔になった。
- 赤ちゃんが、ニコニコ笑っていた。
使い方のヒント: 「ニコニコする」「ニコニコ顔」「ニコニコしている」のように使います。
⑥ キラキラ
意味: 光ってかがやいて見える様子。または、明るくて元気な印象。
物にも気持ちにも使えます。 目・星・宝石などの「光」や、楽しそうな表情・前向きな気持ちを表します。
例文:
- 星が空にキラキラ光っている。(光)
- 子どもの目がキラキラしていた。(楽しそう・元気な目の様子)
- キラキラした笑顔で、こちらを見た。(明るい印象)
使い方のヒント: 「キラキラ光る」「キラキラした〇〇」のように使います。
⑦ ふわふわ
意味: 軽くてやわらかい様子。または、気持ちが落ち着かない・地に着かない様子。
物の感じ(やわらかさ)と気持ちの感じ(落ち着かなさ)の両方に使えます。
例文:
- このパンは、ふわふわでおいしい。(物の感じ)
- 雲がふわふわ浮かんでいる。(物の感じ)
- 試験に合格して、まだふわふわしている。(気持ち:うれしくて落ち着かない)
気持ちの場合: うれしすぎて落ち着かない、まだ本当だと感じられない、というときに使われます。
オノマトペの作り方(基本のパターン)
気持ちを表すオノマトペには、よく使われる形があります。
| 形 | 例 | 説明 |
|---|---|---|
| 同じ音を2回くりかえす | ワクワク、ドキドキ、ハラハラ | いちばん多い形。リズムがいい。 |
| 「〜する」をつけて動詞にする | ワクワクする、イライラする | 気持ちの動きを表す。 |
| 「〜している」で状態を表す | ニコニコしている、キラキラしている | 続いている様子を表す。 |
| 「〜した〇〇」で名詞をくわしく説明する | キラキラした目、ふわふわしたパン | 物や人の様子を説明する。 |
この4つの形を覚えると、たくさんのオノマトペが使えるようになります。
使われる場面①:自分の気持ちを伝える
自分が今どんな気持ちかを、やさしくつたえるのに便利です。
- 旅行の前は、ワクワクします。
- 面接の前は、ドキドキしました。
- 待ち時間が長くて、イライラしてしまった。
「うれしいです」「きんちょうしています」と言うよりも、より生き生きと気持ちが伝わります。
使われる場面②:人や物の様子を説明する
他の人や、物の様子を見たままに表すこともできます。
- 子どもがニコニコ走ってきた。
- 母はいつもキラキラした笑顔だ。
- ふわふわのケーキを食べた。
オノマトペを使うと、短いことばで、目に見えるように説明できます。
注意点:使いすぎ・失礼に注意
オノマトペは便利ですが、いくつか気をつける点があります。
| 注意 | 説明 |
|---|---|
| くだけた印象 | ビジネスメール・正式な書類では使いすぎないこと |
| 強い気持ちの表現 | 「イライラ」を相手に向けて使うと失礼になりやすい |
| 意味のちがい | 「ドキドキ(自分の気持ち)」と「ハラハラ(他の人を見ての気持ち)」のように、似て見えても視点がちがうことがある |
| 子どもっぽく聞こえる | 多用すると、ビジネスでは少し幼く感じられることも |
会話や日記・SNS では自由に使い、正式な場面では数を減らす、と覚えておくと安心です。
オノマトペが向いている場面・向かない場面
| 向いている場面 | 向かない場面 |
|---|---|
| 友だちとの会話で気持ちを伝えるとき | 公的な文書・契約書 |
| SNS・日記で生き生きと書きたいとき | 学術論文・ビジネスの報告書(多用は避ける) |
| アニメ・マンガ・歌の表現 | 相手を強くせめるとき(「イライラする」など) |
| 子どもや家族との会話 | 初対面の人との正式な会話 |
言い換えの方向性(かな(ひらがなよみ)+ IPA)
「気持ちのオノマトペ」を、かな読みと近似の IPA で並べます。 発音のリズム(「ワ・ク・ワ・ク」のような4拍)を意識すると覚えやすいです。
| ことば | 表す気持ち | 例文 | 読み(かな(ひらがなよみ)) | 発音(IPA) | 機能の説明 |
|---|---|---|---|---|---|
| ワクワク | 楽しみ・期待 | 旅行が楽しみでワクワクする。 | わくわく | [wakɯ̥wakɯ̥] | ポジティブな期待の気持ち |
| ドキドキ | きんちょう・ときめき | 試験の前にドキドキする。 | どきどき | [do̞kido̞ki] | 心ぞうが速くなる感じ |
| ハラハラ | 心配・落ち着かない | 子どもを見ていてハラハラする。 | はらはら | [haɾahaɾa] | 見ていて心配な気持ち |
| イライラ | きげんが悪い・思い通りにならない | 電車がおそくてイライラした。 | いらいら | [iɾaiɾa] | 思い通りにならず不愉快な気持ち |
| ニコニコ | きげんがいい・笑顔 | 先生はニコニコしている。 | にこにこ | [niko̞niko̞] | 静かに笑顔が続く様子 |
| キラキラ | かがやき・希望 | 星がキラキラ光る。 | きらきら | [kiɾakiɾa] | 光る/希望に満ちた様子 |
| ふわふわ | 軽やか・落ち着かない | パンがふわふわでおいしい。 | ふわふわ | [ɸɯwaɸɯwa] | やわらかい/実感のない気持ち |
IPA は近似です。母音の長さや「ク」「キ」の母音が弱く(無声化して)聞こえることもあります。かなと合わせて確認してください。
実際の使い分け例(生活と仕事|かな(ひらがなよみ)+ IPA)
場面ごとに、どのオノマトペが自然かを見てみましょう。
| シーン | 言いたい意図 | 適切な言い方 | 読み(かな(ひらがなよみ)) | 発音(IPA) | ポイント |
|---|---|---|---|---|---|
| 生活(休日) | 旅行を楽しみにしている | 旅行が楽しみで、ワクワクしています。 | りょこう が たのしみ で わくわく しています | [ɾʲo̞koː ɡa tano̞ɕimi de̞ wakɯ̥wakɯ̥ ɕite̞imasɯ] | ポジティブな期待 |
| 生活(家族) | 子どもが心配 | 高い所にのぼる子を見て、ハラハラした。 | たかい ところ に のぼる こ を みて はらはら した | [takai to̞ko̞ɾo̞ ni no̞bo̞ɾɯ ko̞ o̞ mite̞ haɾahaɾa ɕita] | 他人を見ての心配 |
| 学校(試験) | きんちょうしている | 発表の前は、ドキドキします。 | はっぴょう の まえ は どきどき します | [happʲo̞ː no̞ mae̞ wa do̞kido̞ki ɕimasɯ] | 自分の心ぞうの感じ |
| 学校(仲間) | 友だちが楽しそう | 友だちはニコニコしながら話していた。 | ともだち は にこにこ しながら はなしていた | [to̞mo̞datɕi wa niko̞niko̞ ɕinaɡaɾa hanaɕite̞ita] | 様子を観察して伝える |
| 仕事(休けい) | 機嫌よくしていたい | 朝はコーヒーを飲んで、ニコニコ仕事を始めます。 | あさ は こーひー を のんで にこにこ しごと を はじめます | [asa wa ko̞ːhiː o̞ no̞nde̞ niko̞niko̞ ɕiɡo̞to̞ o̞ hadʑime̞masɯ] | 軽い表現として職場でも可 |
| 仕事(待ち) | 返事が来ずもどかしい | 返事が来なくて、少しイライラしてしまった。 | へんじ が こなくて すこし いらいら して しまった | [he̞ndʑi ɡa ko̞nakɯ̥te̞ sɯ̥ko̞ɕi iɾaiɾa ɕite̞ ɕimatta] | 相手に直接ではなく、自分の気持ちとして言う |
小さなコツ:もっと自然に使う
1) 「〜する」「〜している」を使い分ける
「ドキドキする」は今の動き、「ドキドキしている」は続いている状態を表します。
- ドキドキする:これからきんちょうする
- ドキドキしている:今もきんちょうが続いている
短い時間の出来事か、続く様子かで使い分けましょう。
2) 同じ場面に2つ重ねて使える
オノマトペは、2つ重ねて使うと、より気持ちがよく伝わります。
- 旅行の前は、ワクワクドキドキする。
- 試合を見ていて、ハラハラドキドキした。
リズムがいいので、会話で自然に聞こえます。
3) ていねいに言いたいときは「〜気持ちです」に変える
ビジネスや改まった場面では、オノマトペを言いかえると、より上品です。
- ワクワクしています → 楽しみにしております
- ドキドキしています → きんちょうしております
- イライラしました → 少しもどかしく感じました
場面によって、自然な日本語に切り替えるのもおすすめです。
よくあるミスと直し方
| よくある文 | 何が困る? | 直し方(例) |
|---|---|---|
| 今日はワクワクをしました。 | 「ワクワクする」が動詞。「を」は不要 | 今日はワクワクしました。 |
| 雨がワクワク降っています。 | ワクワクは気持ち。物の音には使わない | 雨がザーザー降っています。 |
| 上司に「イライラします」と直接言う | 強くひびき、失礼になる | 「少し気になっています」など別の言い方に |
| パンがニコニコしている。 | ニコニコは人の笑顔の様子 | パンがふわふわしている。 |
まとめ
気持ちを表すオノマトペは、
- 楽しい・うれしい:ワクワク/ニコニコ/キラキラ
- きんちょう・ときめき:ドキドキ
- 心配・落ち着かない:ハラハラ/ふわふわ
- いかり・もどかしさ:イライラ
のように、気持ちのカテゴリで覚えると整理しやすくなります。
ポイントは、
- 同じ音を2回くりかえす形が多い
- 「〜する」「〜している」「〜した〇〇」で文に入れる
- 友だちとの会話・SNS・日記で自然に使える
- ビジネスや正式な場面では使いすぎに注意
の4つです。
オノマトペが使えるようになると、日本語がぐっと生き生きと聞こえます。 今日学んだ7つから、まずはお気に入りの1つを毎日使ってみましょう。
次回予告
次回(日本のオノマトペ②)では、音を表すオノマトペを取り上げます。 雨の「ザーザー」、ドアの「バタン」、心ぞうの「ドキン」など、実際の音をことばにするおもしろさを見ていきます。 お楽しみに。
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