
日本のオノマトペ⑤ 食べる様子・食感を表す「パクパク・モグモグ・ペコペコ」

今日のテーマ
これまでのオノマトペでは、
- 第①回:「ワクワク」「ドキドキ」など、気持ちや様子を表すことば
- 第②回:「ザーザー」「ドンドン」など、実際に聞こえる音を表すことば
- 第③回:「フワフワ」「ツルツル」など、手で触ったときの感じを表すことば
- 第④回:「テクテク」「ピョンピョン」など、人の動き・歩き方を表すことば
を学びました。
今回は、毎日の生活にいちばん近いグループを取り上げます。
食べたり飲んだりする様子と、食べ物の食感(しょっかん)を、ことばにしたものです。
- よく食べる「パクパク」
- 口を動かしてかむ「モグモグ」
- おなかがすいた「ペコペコ」
食事は毎日のことなので、これらのオノマトペは会話でとてもよく出てきます。レストラン、家、SNS、まんが、どこでも使われます。今日おぼえると、食事の話がぐっと自然になります。
今日は、食べる・飲む様子と食感のオノマトペを8つ選んで、どんな様子か・どう使うかを例といっしょに学びます。
擬音語と擬態語の違い(おさらい)
オノマトペには2つの種類があります。前回までのおさらいをしておきましょう。
| 種類 | 表すもの | 例 |
|---|---|---|
| 擬音語(ぎおんご):音をことばにしたもの | 実さいに聞こえる音 | ザーザー(雨の音)、ゴクゴク(飲む音) |
| 擬態語(ぎたいご):様子をことばにしたもの | 様子・気持ち・食感(音はない) | パクパク(食べる様子)、ペコペコ(空腹の様子) |
食べる・飲むオノマトペは、両方の種類があります。
- 「ゴクゴク」は、実さいに聞こえる飲む音 → 擬音語に近い
- 「ペコペコ」「サクサク」は、様子や食感 → 擬態語
どちらかをむずかしく分ける必要はありません。「音が聞こえるか」「様子を表すか」を意識すると、意味をおぼえやすくなります。
今日おぼえる8つのことば
まずは一覧で見てみましょう。前半は「食べる・飲む様子」、後半は「食感(食べ物のかんじ)」です。
| ことば | グループ | 一言で言うと |
|---|---|---|
| パクパク | 食べる様子 | 口を開けてよく食べる |
| モグモグ | 食べる様子 | 口を閉じてよくかむ |
| ガツガツ | 食べる様子 | いきおいよく食べる |
| ゴクゴク | 飲む様子 | いきおいよく飲む |
| ペコペコ | おなかの様子 | おなかがすいている |
| サクサク | 食感 | 軽くて歯ざわりがよい |
| シャキシャキ | 食感 | 野菜が新せんで歯ごたえがある |
| ホクホク | 食感 | あたたかくてやわらかい |
それぞれ、もう少し詳しく見ていきます。
① パクパク
意味: 口を大きく開けたり閉じたりして、よく食べる様子。たくさん、気持ちよく食べるときに使います。
食よくがあるとき、おいしくて手が止まらないときにぴったりです。
例文:
- 子どもがごはんをパクパク食べている。
- おいしくて、パクパク食べてしまった。
- 魚が水面で口をパクパクさせている。
使い方のヒント: 「パクパク」は明るくて元気なイメージです。「よく食べてえらいね」「おいしそうだね」という、よい気持ちといっしょに使われます。
② モグモグ
意味: 口を閉じて、食べ物をゆっくりよくかむ様子。口の中に食べ物が入っている様子を表します。
ゆっくりかんで食べるとき、口の中がいっぱいのときに使います。
例文:
- 口にいれたまま、モグモグしている。
- よくモグモグかんで食べましょう。
- 口がモグモグしていて、返事ができない。
「パクパク」との違い: 「パクパク」は次つぎに口に入れる様子、「モグモグ」は口の中でかんでいる様子です。食べる動きの、ちがう場面を表します。
③ ガツガツ
意味: おなかがすいていて、いきおいよく、がまんせずに食べる様子。マナーより食よくが出ている感じです。
とてもおなかがすいているとき、急いで食べるときに使います。
例文:
- おなかがすいて、ガツガツ食べた。
- そんなにガツガツ食べないで、ゆっくり食べよう。
- 運動のあと、ガツガツごはんを食べた。
注意: 「ガツガツ」には、少しぎょうぎが悪いというイメージがあります。人に向かって言うときは気をつけましょう。自分のことを言うときは、おもしろく言う場面で使えます。
④ ゴクゴク
意味: 飲み物を、いきおいよく、たくさん飲む様子。のどから「ゴクッ」と聞こえる音もふくみます。
のどがかわいたとき、つめたい飲み物をいっきに飲むときにぴったりです。
例文:
- 暑かったので、水をゴクゴク飲んだ。
- ジュースをゴクゴク飲む音が聞こえる。
- 子どもが牛にゅうをゴクゴク飲んでいる。
使い方のヒント: 「ゴクゴク」は飲む音が聞こえる擬音語に近いことばです。「ゴクッ」と1回言うと、一口だけ飲む様子になります(例:水をゴクッと飲んだ)。
⑤ ペコペコ
意味: おなかがすいている様子。「おなかがペコペコ」の形でよく使います。
食事の前、長い時間食べていないときに使う、とても便利なことばです。
例文:
- 朝からなにも食べていなくて、おなかがペコペコだ。
- おなかがペコペコで、力が出ない。
- もうペコペコだよ。早くごはんにしよう。
注意: 「ペコペコ」には、もう1つの意味があります。何度も頭を下げる様子です(例:店長にペコペコする)。食事の話では「おなかがペコペコ」、頭を下げる話では「人にペコペコ」と、いっしょに来ることばがちがいます。
⑥ サクサク
意味: かむと軽い音がして、歯ざわりがよい食感。かたすぎず、気持ちよくかめる様子です。
てんぷら、クッキー、フライ、新せんな野菜などに使います。
例文:
- このクッキーはサクサクしておいしい。
- てんぷらがサクサクにあがった。
- レタスがサクサクして新せんだ。
使い方のヒント: 「サクサク」は食べ物以外にも使えます。「仕事がサクサク進む」のように、気持ちよく早く進む様子も表します。
⑦ シャキシャキ
意味: 新せんな野菜などをかんだときの、軽くてはっきりした歯ごたえ。みずみずしく、気持ちのよい食感です。
レタス、きゅうり、りんご、もやしなど、新せんな野菜やくだものに使います。
例文:
- このサラダはシャキシャキしている。
- りんごがシャキシャキしておいしい。
- もやしのシャキシャキした食感が好きだ。
「サクサク」との違い: 「サクサク」はかわいた軽い食感(クッキーなど)、「シャキシャキ」はみずみずしい野菜の食感です。どちらも歯ざわりがよいですが、水分のあるなしがちがいます。
⑧ ホクホク
意味: あたたかくて、やわらかく、ほどよくかわいた食感。口の中であたたかさが広がる様子です。
じゃがいも、さつまいも、かぼちゃ、やきいもなどに使います。
例文:
- ふかしたじゃがいもがホクホクだ。
- やきいもはホクホクであまい。
- かぼちゃをホクホクに煮た。
使い方のヒント: 「ホクホク」は食感のほかに、うれしい気持ちも表します(例:おこづかいをもらってホクホク顔)。あたたかくて満足な気持ちのイメージです。
食べる・食感のオノマトペの作り方(基本のパターン)
| 形 | 例 | 説明 |
|---|---|---|
| 同じ音を2回くりかえす | パクパク、モグモグ、サクサク | いちばん多い形。動きや食感が続くイメージが出る。 |
| 「〜と」をつけて動詞につなぐ | ゴクゴクと飲む、サクサクとかむ | 様子をくわしく説明するときに自然。 |
| 「〜する」をつけて動詞にする | モグモグする、ペコペコする | 動きや状態を表す。 |
| 「〜だ/〜している」で様子を表す | おなかがペコペコだ、サクサクしている | 食感や状態を伝える。 |
| 1回だけ言う | ゴクッと飲む、パクッと食べる | 一度だけの動きを表す。 |
使われる場面①:食事・家庭の会話
食べる・食感のオノマトペは、おいしさや食べ方をみじかく伝えるのにとても便利です。長い説明をしなくても、様子がすぐ伝わります。
- ごはんをパクパク食べたよ。
- このパン、サクサクでおいしい。
- おなかがペコペコだから、早く食べよう。
「食べた」「おいしい」だけよりも、食べ方や食感まで一度に伝わります。家族や友だちとの食事の会話で、よく使われます。
使われる場面②:お店・SNS・レビュー
食感のオノマトペは、食べ物のしょうかいでとてもよく使われます。お店のメニュー、SNSの投こう、料理のレビューなどで見かけます。
- 外はサクサク、中はジューシー。
- シャキシャキ野菜のサラダ。
- ホクホクのさつまいもを使ったケーキ。
食感のことばがあると、読む人が味を想像しやすくなります。料理を紹介するときに使うと、おいしさがよく伝わります。
注意点:似た様子・まちがえやすい組み合わせ
| ことば | 様子 | 混同しやすいことば | 違い |
|---|---|---|---|
| パクパク | 次つぎに食べる | モグモグ | モグモグは口の中でかむ |
| ガツガツ | いきおいよく食べる | パクパク | ガツガツはぎょうぎが悪い印象 |
| サクサク | かわいた軽い食感 | シャキシャキ | シャキシャキはみずみずしい野菜 |
| シャキシャキ | 野菜の歯ごたえ | ホクホク | ホクホクはあたたかくやわらかい |
| ペコペコ(おなか) | 空腹 | ペコペコ(頭を下げる) | いっしょに来ることばがちがう |
「食べる・食感のオノマトペ」が向いている場面・向かない場面
| 向いている場面 | 向かない場面 |
|---|---|
| 友だちや家族との食事の会話 | 公的な文書・報告書(多用は避ける) |
| 料理やお店をしょうかいするとき | 学術論文・かしこまった案内文 |
| SNS で食べ物の感想を書くとき | ビジネスの正式な議事録 |
| 子どもや動物の食べる様子を話すとき | 初対面の改まった自己紹介 |
言い換えの方向性(かな(ひらがなよみ)+ IPA)
| ことば | どんな様子? | 例文 | 読み(かな(ひらがなよみ)) | 発音(IPA) | 使い方のポイント |
|---|---|---|---|---|---|
| パクパク | よく食べる | ごはんをパクパク食べる。 | ぱくぱく | [pakɯ̥pakɯ̥] | 明るく元気な食べ方 |
| モグモグ | 口を閉じてかむ | 口の中でモグモグする。 | もぐもぐ | [mo̞ɡɯmo̞ɡɯ] | かんでいる様子 |
| ガツガツ | いきおいよく食べる | ガツガツ食べる。 | がつがつ | [ɡatsɯ̥ɡatsɯ̥] | ぎょうぎが悪い印象も |
| ゴクゴク | いきおいよく飲む | 水をゴクゴク飲む。 | ごくごく | [ɡo̞kɯ̥ɡo̞kɯ̥] | 飲む音が聞こえる |
| ペコペコ | おなかがすいている | おなかがペコペコだ。 | ぺこぺこ | [pe̞ko̞pe̞ko̞] | 空腹の様子 |
| サクサク | 軽くて歯ざわりがよい | クッキーがサクサクだ。 | さくさく | [sakɯ̥sakɯ̥] | かわいた軽い食感 |
| シャキシャキ | 野菜の歯ごたえ | レタスがシャキシャキだ。 | しゃきしゃき | [ɕakiɕaki] | みずみずしい食感 |
| ホクホク | あたたかくやわらかい | いもがホクホクだ。 | ほくほく | [ho̞kɯ̥ho̞kɯ̥] | あたたかい満足感 |
IPA は近似です。母音の長さや「く」「つ」などの音は話し手や地域によって変わります。かなと合わせて確認してください。
実際の使い分け例(生活と仕事|かな(ひらがなよみ)+ IPA)
| シーン | 言いたい意図 | 適切な言い方 | 読み(かな(ひらがなよみ)) | 発音(IPA) | ポイント |
|---|---|---|---|---|---|
| 生活(食事) | よく食べた | 子どもがパクパク食べたよ。 | こども が ぱくぱく たべた よ | [ko̞do̞mo̞ ɡa pakɯ̥pakɯ̥ tabe̞ta jo̞] | 明るい食べ方 |
| 生活(空腹) | おなかがすいた | おなかがペコペコだよ。 | おなか が ぺこぺこ だ よ | [o̞naka ɡa pe̞ko̞pe̞ko̞ da jo̞] | 食事の前によく使う |
| 生活(飲み物) | いっきに飲んだ | 水をゴクゴク飲んだ。 | みず を ごくごく のんだ | [midzɯ o̞ ɡo̞kɯ̥ɡo̞kɯ̥ no̞nda] | のどがかわいたとき |
| お店(しょうかい) | 食感を伝えたい | 外はサクサクしています。 | そと わ さくさく して います | [so̞to̞ wa sakɯ̥sakɯ̥ ɕite̞ imasɯ̥] | 料理のしょうかい |
| SNS(感想) | 新せんさを伝えたい | 野菜がシャキシャキでした。 | やさい が しゃきしゃき でした | [jasai ɡa ɕakiɕaki de̞ɕita] | みずみずしい食感 |
| 仕事(やわらかく) | ゆっくり食べてほしい | よくモグモグかんでくださいね。 | よく もぐもぐ かんで ください ね | [jo̞kɯ̥ mo̞ɡɯmo̞ɡɯ kande̞ kɯdasai ne̞] | やさしいうながし方 |
小さなコツ:もっと自然に使う
1) ひらがな・カタカナ どちらでも書ける
食べる・食感のオノマトペは、ひらがなでもカタカナでも書けます。
- カタカナ:サクサク(強調したいとき・メニューなど)
- ひらがな:さくさく(やさしい・やわらかい印象)
意味は同じです。場面や気分で選びましょう。お店のメニューでは、カタカナがよく使われます。
2) 「食べ方」と「食感」を分けて覚える
今日のことばは、2つのグループに分けると整理しやすくなります。
| グループ | ことば |
|---|---|
| 食べ方・飲み方(動作) | パクパク、モグモグ、ガツガツ、ゴクゴク |
| 食感(食べ物のかんじ) | サクサク、シャキシャキ、ホクホク |
| おなかの状態 | ペコペコ |
3) 気持ちまで伝わることを意識する
食べる・食感のオノマトペは、様子だけでなく気持ちも伝えます。
- パクパク:おいしい・うれしい
- ガツガツ:おなかがすいて、がまんできない
- ホクホク:あたたかくて、満足
どんな気持ちかをイメージして選ぶと、ぴったりのことばが見つかります。
よくあるミスと直し方
| よくある文 | 何が困る? | 直し方(例) |
|---|---|---|
| クッキーがシャキシャキでおいしい。 | シャキシャキは野菜の食感 | クッキーがサクサクでおいしい。 |
| 水をパクパク飲んだ。 | パクパクは食べる様子 | 水をゴクゴク飲んだ。 |
| おなかがサクサクだ。 | 空腹は「ペコペコ」 | おなかがペコペコだ。 |
| やきいもがシャキシャキだ。 | いもはあたたかくやわらかい | やきいもがホクホクだ。 |
まとめ
食べる様子・食感を表すオノマトペは、
- 食べ方:パクパク(よく食べる)、モグモグ(かむ)、ガツガツ(いきおいよく)
- 飲み方:ゴクゴク(いきおいよく飲む)
- おなかの状態:ペコペコ(空腹)
- 食感:サクサク(軽い)、シャキシャキ(野菜)、ホクホク(あたたかい)
のように、様子の種類でグループにして覚えると整理しやすくなります。
ポイントは、
- 食べる音は擬音語、食感や様子は擬態語
- 同じ音を2回くりかえす形が多い
- 「〜と」「〜する」「〜だ」をつけて文に入れる
- 様子だけでなく、おいしさや気持ちまで伝わる
の4つです。
食べる・食感のオノマトペが使えるようになると、日本語で食事の話を生き生きと伝えることができます。今日学んだ8つから、まずよく使うことば(パクパク・ペコペコ)を、次の食事の場面で使ってみましょう。
次回予告
次回(日本のオノマトペ⑥)では、気持ち・様子をこまかく表すオノマトペを取り上げます。 「イライラ(おこっている)」「ソワソワ(落ち着かない)」「ニコニコ(うれしそう)」など、 人の心の様子をことばにする表現を見ていきます。 お楽しみに。
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