
あいまい表現② 「〜と思われます」はどう使うか

今日のテーマ
「〜と思われます」は、意見を強く言わずに、少し距離をおいて伝える言い方です。
自分の考えを前に出さないので、落ち着いた言い方に聞こえます。
一方で、使いすぎると「だれがそう思っているのか」が分かりにくくなります。
今日は、使う場面と言い換えをセットで学びます。
「〜と思われます」は意見を前に出さない言い方
「〜と思われます」は、話し手の意見を前に出さずに言う表現です。
自分だけの考えではなく、状況や多くの人の見方のように聞こえます。
| 言い方 | 伝わり方 |
|---|---|
| 〜と思います | 「私の考えです」とはっきり聞こえる |
| 〜と思われます | 「みんなの見方」や「状況から言える」に聞こえる |
会話よりも、報告・説明・文書で見かけることが多い表現です。
「〜と思います」との違い
次の2つは似ていますが、意味の中心が少し違います。
これは問題だと思います。
これは問題だと思われます。
- 「〜と思います」 → 話し手の意見が中心
- 「〜と思われます」 → 話し手を前に出さない言い方
「だれの意見か」をはっきり言わないことで、やわらかく聞こえます。
文の形と作り方
「思われます」は「思う」に「れます」がついた形です。
普通形のあとにつけます。
| 品詞 | 形 | 例 |
|---|---|---|
| 動詞 | 普通形+と思われます | 雨が降ると思われます |
| い形容詞 | い形+と思われます | この道は危ないと思われます |
| な形容詞 | な形+だと思われます | ここは静かだと思われます |
| 名詞 | 名詞+だと思われます | これは問題だと思われます |
「思います」に近い形ですが、話し手が前に出ない感じになります。
使われる場面①:報告や説明
報告や説明では、自分だけの意見に見せたくないときに使います。
- この点は課題だと思います。
→ この点は課題だと思われます。
こう言うと、状況から見てそう言えるという意味になります。
「私が言った」よりも、少し落ち着いた言い方になります。
使われる場面②:会社の文書や会議
仕事の文書や会議では、はっきり言い切らない言い方が便利です。
例:
- 影響が大きいと思われます。
- 問題が発生したと思われます。
主語を入れないので、落ち着いた感じになります。
ただし、責任が必要な場面では使いすぎに注意しましょう。
注意点:「〜と思われます」は逃げに見えることがある
「〜と思われます」を何度も使うと、次のように感じられることがあります。
- だれの意見か分からない
- 自分の考えを言っていない
- 決めたくないように見える
意見を求められている場面では、「私は〜と思います」と言うほうが安心です。
「〜と思われます」が向いている場面・向かない場面
| 向いている場面 | 向かない場面 |
|---|---|
| 報告書・説明 | 自分の意見を聞かれているとき |
| 調べた結果のまとめ | 最後に決めるとき |
| まだ決まっていない話 | すぐに決めたいとき |
「だれの意見か」をはっきり言うかどうかで、言い方を選びましょう。
言い換えの方向性(読み・IPAつき)
目的ごとに、分かりやすい言い方へ変えます。
| 言い換えの型 | 目的 | 例文 | 読み(かな) | 発音(IPA) | 機能の説明 |
|---|---|---|---|---|---|
| 意見をはっきり言う | 自分の考えを出す | 私は、この案がよいと思います。 | わたし は、この あん が よい と おもいます | [wataɕi wa ko̞no̞ aɴ ɡa̠ jo̞i to̞ o̞mo̞imasɯ] | 「私の意見」と分かる |
| 理由をそえる | 理由を見せる | 時間が足りないので、難しいと思います。 | じかん が たりない ので、むずかしい と おもいます | [dʑika̠ɴ ɡa̠ taɾinai no̞de̞, mɯzɯkaɕiː to̞ o̞mo̞imasɯ] | 理由がある意見になる |
| みんなの意見を言う | 自分以外の考えだと示す | みんなは、この道は危ないと思っています。 | みんな は、この みち は あぶない と おもっています | [minna wa ko̞no̞ mitɕi wa abɯnai to̞ o̞mo̞itːeimasɯ] | 一般の見方だと伝える |
| 見たことを言う | 見えていることを伝える | 空が暗いので、雨のようです。 | そら が くらい ので、あめ の よう です | [so̞ra ɡa̠ kɯɾai no̞de̞, ame̞ no̞ jo̞ː desɯ] | 目で見た情報を言う |
| 可能性を言う | まだ決まっていないことを言う | 電車は遅れるかもしれません。 | でんしゃ は おくれる かも しれません | [de̞ɴɕa wa o̞kɯɾre̞ɾɯ kamo̞ ɕiɾe̞masẽɴ] | はっきりしないことを残す |
| 決めたことを言う | 決まったことを伝える | 今日はこの案で進めます。 | きょう は この あん で すすめます | [kʲo̞ː wa ko̞no̞ aɴ de sɯsɯmemasɯ] | 決まったと分かる |
IPA は近似です。母音の長さや「ん」の音は話し手で少し変わります。かなと合わせて確認してください。
実際の使い分け例(生活と仕事|読み・IPAつき)
場面に合わせて、「思われます」と他の言い方を使い分けます。
| シーン | 言いたい意図 | 適切な言い方 | 読み(かな) | 発音(IPA) | ポイント |
|---|---|---|---|---|---|
| 生活(天気) | 状況から言う | 雲が多いので、雨になると思われます。 | くも が おおい ので、あめ に なる と おもわれます | [kɯmo̞ ɡa̠ o̞ːi no̞de̞, ame̞ ni naɾɯ to̞ o̞mo̞waɾemasɯ] | 予測の理由を出す |
| 学校(まとめ) | 調べた結果を言う | このしらべでは、Aのほうが高いと思われます。 | この しらべ では、えー の ほう が たかい と おもわれます | [ko̞no̞ ɕiɾabe de̞wa, e̞ː no̞ hoː ɡa̠ taka̞i to̞ o̞mo̞waɾemasɯ] | 自分だけの意見にしない |
| 仕事(会議) | 自分の意見を言う | 私はこの案がよいと思います。 | わたし は この あん が よい と おもいます | [wataɕi wa ko̞no̞ aɴ ɡa̠ jo̞i to̞ o̞mo̞imasɯ] | 自分の意見だと伝える |
| 仕事(連絡) | まだ決まっていない | バスは遅れるかもしれません。 | ばす は おくれる かも しれません | [basɯ wa o̞kɯɾre̞ɾɯ kamo̞ ɕiɾe̞masẽɴ] | 可能性を残す |
| 生活(目で見える) | 見たことを言う | 外が暗いので、雨のようです。 | そと が くらい ので、あめ の よう です | [so̞to ɡa̠ kɯɾai no̞de̞, ame̞ no̞ jo̞ː desɯ] | 見たことを伝える |
| 仕事(決定) | 決めたことを言う | 今日はこの案で進めます。 | きょう は この あん で すすめます | [kʲo̞ː wa ko̞no̞ aɴ de sɯsɯmemasɯ] | 迷いがないと伝わる |
小さなコツ:伝わりやすくする
1) だれの意見かを言う
「私は」「みんなは」「調べでは」など、主語や理由を少し入れるだけで分かりやすくなります。
2) 理由を1つだけ足す
短い理由があると、相手が安心します。
- × これは問題だと思われます。
- ○ この数が増えているので、問題だと思われます。
3) 決める場面でははっきり言う
決める必要があるときは、「〜と思われます」よりも、決めたことを言いましょう。
- × 今日は中止だと思われます。
- ○ 今日は中止です。
よくあるミスと直し方
| よくある文 | 何が困る? | 直し方(例) |
|---|---|---|
| 私はそう思われます。 | 主語がずれて意味が変わる | 私はそう思います。 |
| 雨だと思われます。 | 予報がある時は弱すぎる | 雨になりそうです。 |
| 何でも「と思われます」で言う | だれの意見か分からない | 私は〜と思います/〜です。 |
まとめ
「〜と思われます」は、
- 自分の意見を前に出さない
- 状況から言えることを伝える
- 報告や説明で使いやすい
という便利な表現です。
一方で、意見を求められているときは「私は〜と思います」のほうが分かりやすいです。
場面に合わせて、言い方を選びましょう。
おまけ

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