
あいまい表現① 「〜かもしれません」はどう使うか

「〜かもしれません」は日本語の基本的なあいまい表現
「〜かもしれません」は、日本語でとてもよく使う言い方です。
はっきり言い切らずに、可能性があることを伝えます。
たとえば、次のような気持ちを言うときに使います。
- 言い切らない
- 可能性を残す
- 相手との距離を保つ
「あいまい」は「はっきりしない」という意味です。
つまり「〜かもしれません」は、はっきりしない話を安全に伝えるための表現です。
| 役割 | 何をする? |
|---|---|
| 言い切らない | まだ決まっていないことを言う |
| 可能性を残す | ほかの結果もありえると示す |
| 配慮を示す | 相手の気持ちを大切にする |
「〜かもしれません」が使われる場面
「〜かもしれません」は、主に次のような場面で使われます。
- 確実ではないことを伝えるとき
- 相手に判断をゆだねたいとき
- 断定すると失礼になるかもしれないとき
つまり、情報の不確かさや配慮を示す表現です。
例:
- 天気が分からない → 「明日は雨かもしれません。」
- 時間が読めない → 「到着は遅くなるかもしれません。」
- 指摘をやわらかくしたい → 「その答えは違うかもしれません。」
文の形と作り方
「〜かもしれません」は、普通形のあとにつけます。
| 品詞 | 形 | 例 |
|---|---|---|
| 動詞 | 普通形+かもしれません | 行くかもしれません |
| い形容詞 | い形+かもしれません | 高いかもしれません |
| な形容詞 | な形+かもしれません | 静かかもしれません |
| 名詞 | 名詞+かもしれません | 学生かもしれません |
ていねいではない言い方は「〜かもしれない」です。
友だち同士などで使います。
例①:事実が確定していないとき
天気・予定・結果などが、まだ決まっていない場合に使います。
- 明日は雨です。
→ 明日は雨かもしれません。 - 結果は失敗です。
→ 結果は失敗かもしれません。 - 会議は3時です。
→ 会議は3時になるかもしれません。
「かもしれません」を使うと、予測・途中段階であることが自然に伝わります。
相手に「まだ確定ではない」と分かってもらえるのがポイントです。
例②:相手に配慮したいとき
相手の考えや行動に触れるときは、言い方が強くならないようにします。
- それは間違いです。
→ それは間違いかもしれません。 - この方法はよくありません。
→ この方法はあまりよくないかもしれません。 - その答えはちがいます。
→ その答えは少しちがうかもしれません。
断定を避けると、相手の立場や意見を尊重している印象になります。
特に学校や仕事では、やわらかい言い方が安全です。
言い換えの方向性(読み・IPAつき)
目的ごとに、短くて分かりやすい言い換えへ変えます。
| 言い換えの型 | 目的 | 例文 | 読み(かな) | 発音(IPA) | 機能の説明 |
|---|---|---|---|---|---|
| 可能性を言う | 不確実さを示す | 明日は雨かもしれません。 | あした は あめ かも しれません | [aɕita wa ame̞ kamo̞ ɕiɾe̞masẽɴ] | はっきり言い切らない |
| 理由を添える | 根拠を示す | 雲が多いので、雨かもしれません。 | くも が おおい ので、あめ かも しれません | [kɯmo̞ ɡa o̞ːi no̞de̞, ame̞ kamo̞ ɕiɾe̞masẽɴ] | 理由がある予測になる |
| ていねいに言う | かたい場面で伝える | 明日は雨の可能性があります。 | あした は あめ の かのうせい が あります | [aɕita wa ame̞ no̞ kano̞ːse̞i ɡa aɾimasɯ] | 少し丁寧な言い方 |
| 友だちに言う | 口語で伝える | 明日は雨かもしれないよ。 | あした は あめ かも しれない よ | [aɕita wa ame̞ kamo̞ ɕiɾe̞nai jo] | 近い距離で使う |
| 配慮する | やわらかく指摘する | その答えは少し違うかもしれません。 | その こたえ は すこし ちがう かも しれません | [so̞no̞ kotae̞ wa sɯkoɕi tɕigaɯ kamo̞ ɕiɾe̞masẽɴ] | 相手をせめない |
| 案内する | 予告をやわらかくする | 少しお待たせするかもしれません。 | すこし おまたせ する かも しれません | [sɯkoɕi o̞matase̞ sɯɾɯ kamo̞ ɕiɾe̞masẽɴ] | 不便を小さく伝える |
IPA は近似です。母音の長さや「ん」の音は話し手で少し変わります。かなと合わせて確認してください。
実際の使い分け例(生活と仕事|読み・IPAつき)
場面に合わせて、言い方を少し変えます。
| シーン | 言いたい意図 | 適切な言い方 | 読み(かな) | 発音(IPA) | ポイント |
|---|---|---|---|---|---|
| 生活(天気) | 予想+準備 | 明日は雨かもしれません。かさを持っていきましょう。 | あした は あめ かも しれません。かさ を もって いきましょう | [aɕita wa ame̞ kamo̞ ɕiɾe̞masẽɴ. kasa o̞ mo̞tːe̞ ikimaɕo̞ː] | 予想と行動をセットで伝える |
| 生活(体調) | 不確実さ+対応 | 今日は熱が出るかもしれません。早めに休みます。 | きょう は ねつ が でる かも しれません。はやめ に やすみます | [kʲo̞ː wa ne̞tsɯ ɡa de̞ɾɯ kamo̞ ɕiɾe̞masẽɴ. hajame̞ ni jasɯmimasɯ] | 先に対処を言う |
| 学校(結果) | 情報不足 | 点数はまだ分からないので、低いかもしれません。 | てんすう は まだ わからない ので、ひくい かも しれません | [te̞ɴsɯː wa mada wakaɾanai no̞de̞, çikɯi kamo̞ ɕiɾe̞masẽɴ] | 確定していないと伝える |
| 仕事(納期) | 遅れの可能性 | この作業は今日中に終わらないかもしれません。 | この さぎょう は きょうじゅう に おわらない かも しれません | [ko̞no̞ saɡʲo̞ː wa kʲo̞ːdʑɯː ni o̞waɾanai kamo̞ ɕiɾe̞masẽɴ] | 早めの共有で助かる |
| 仕事(提案) | 配慮+次の案 | その方法はあまり合わないかもしれません。別の案も考えましょう。 | その ほうほう は あまり あわない かも しれません。べつ の あん も かんがえましょう | [so̞no̞ ho̞ːho̞ː wa amaɾi awanai kamo̞ ɕiɾe̞masẽɴ. be̞tsɯ no̞ aɴ mo̞ kaŋɡae̞maɕo̞ː] | やわらかい否定+提案 |
| 接客(待ち時間) | 予告+安心 | 少しお待たせするかもしれません。順番にご案内します。 | すこし おまたせ する かも しれません。じゅんばん に ごあんない します | [sɯkoɕi o̞matase̞ sɯɾɯ kamo̞ ɕiɾe̞masẽɴ. dʑɯɴbaɴ ni ɡo̞aɴnai ɕimasɯ] | 不安を減らす説明 |
注意点:「〜かもしれません」は万能ではない
「〜かもしれません」を使いすぎると、次のような印象になることがあります。
- 自信がない
- 責任を避けている
- 意見が分からない
特に、自分が判断すべき立場や、結論を求められている場面では注意が必要です。
| 場面 | 弱すぎる言い方 | ほうがよい言い方 |
|---|---|---|
| 予定を確定する | 9時に始まるかもしれません。 | 9時に始まります。 |
| 安全を伝える | この道は安全かもしれません。 | この道は安全です。 |
小さなコツ:伝わりやすくする
1) 理由を1つだけ足す
理由があると、相手は安心します。
- × 明日は雨かもしれません。
- ○ 雲が多いので、雨かもしれません。
2) 何が不確実かを言う
「何がまだ分からないか」を言うと、誤解が減ります。
- × 結果は失敗かもしれません。
- ○ まだ確認できていないので、失敗かもしれません。
3) ていねいさを場面で選ぶ
友だちには「かもしれない」、仕事では「かもしれません」を選ぶと自然です。
- 友だち:明日、雨かもしれないよ。
- 仕事:明日は雨かもしれません。
よくあるミスと直し方
| よくある文 | 何が困る? | 直し方(例) |
|---|---|---|
| 今日は月曜日かもしれません。 | もう分かっている情報には不自然 | 今日は月曜日です。 |
| この電車は8時に来るかもしれません。 | 時刻表がある時は弱すぎる | この電車は8時に来ます。 |
| それは間違いかもしれません。 | 強く聞こえることがある | それは少しちがうかもしれません。 |
まとめ
「〜かもしれません」は、
- 確実ではないことを伝える
- 断定を避けて配慮する
ための、とても便利な表現です。
一方で、使う場面を選ばないと、伝えるべき責任まで弱くしてしまいます。
「なぜ、あいまいにしたいのか」を意識して使うことが、自然な日本語につながります。
おまけ

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