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ことばを言い換えよう⑦ 「〜と思います」をどう言い換えるか
2025/12/14

「すごい」は、会話のあらゆる場面で使われる便利な言葉です。
「すごい人」「すごくおいしい」「すごいですね!」など、驚き・感動・評価など、多くの意味を持ちます。
しかし便利すぎるために、何がどのように“すごい”のかが伝わりにくくなるという問題もあります。
今回は、「すごい」を文の機能ごとに整理し、目的に合わせた言い換え方を考えます。
学習を始めたばかりの人でも使いやすいように、短くて明るい文を中心にまとめます。
「すごい」は本来、「恐ろしい・程度が大きい」という意味の形容詞でした。
現代ではポジティブな意味で使われることが多いですが、文脈によっては肯定・否定・驚き・感情の強調など複数の機能を持ちます。
| 用法 | 意味 | 例 | 伝わり方のポイント |
|---|---|---|---|
| 程度の強調 | とても〜だ | すごく寒いです | 温度の強さだけを伝えている |
| 評価 | 優れている | すごい技術ですね | 相手をほめたいときに使う |
| 驚き・感動 | 予想外で感心 | すごい!できたんですか? | 感情が主役になっている |
| 否定的評価 | 程度が過剰で問題 | すごい音がする(=うるさい) | 不快さや困りごとを示す |
このように、同じ「すごい」でも、使われる場面によって機能がまったく異なるのです。
言い換えるときは「何が」「どのくらい」「どんな気持ちで」伝えたいのかを先に決めると、表現がはっきりします。
「すごい」は、その場で表したい感情や評価の種類を明確にすると、より自然な日本語に言い換えられます。ここでは読み(かな)と IPA をそえて、声に出しやすい形にまとめました。
| 言い換えの型 | 意図 | 例文 | よみ(かな) | 発音(IPA) | 機能の説明 |
|---|---|---|---|---|---|
| 評価を伝える | 相手や物事を高く評価する | 素晴らしい成果です。 | すばらしい せいか です | [sɯ̥.ba.ɾa.ɕiː seː.ka desɯ] | 能力や努力を、落ち着いたトーンでほめる |
| 感動を伝える | 驚きや尊敬を表す | 本当に感動しました。 | ほんとうに かんどうしました | [hoɴ.toː.ni kaɴ.doː.ɕi.ma.ɕi.ta] | 心が動いたことを、そのまま伝える |
| 程度を示す | 強さ・多さを表す | とても静かです。 | とても しずか です | [to.te.mo ɕi.zö.ka desɯ] | 「すごく」の代わりに使う副詞で、状況を具体化 |
| 意外性を伝える | 予想外の結果を強調 | 思った以上に早いですね。 | おもった いじょうに はやい ですね | [o.moʔ.ta i.ʑoː.ni ha.jai de.sɯ.ne] | 予想との差を示し、驚きを丁寧に表す |
| 否定的意味を明確化 | 強すぎる・大きすぎるなど | 音がとても大きいです。 | おとが とても おおきい です | [o.to.ga to.te.mo oː.kiː desɯ] | 不快さを直接言わず、客観的に説明する |
IPA は近似です。母音の長さや「ん」の調音は話し手によって少し変わります。かなと合わせて確認してください。
| シーン | 言いたい意図 | 適切な言い換え | よみ(かな) | 発音(IPA) | 機能の説明 |
|---|---|---|---|---|---|
| 接客(お客様の作品を見て) | 感動・称賛 | 素敵な作品ですね。丁寧に作られています。 | すてきな さくひん ですね。ていねいに つくられています。 | [sɯ̥.te.ki.na sa.kɯ̥.çĩn de.sɯ.ne teː.neː.ni tsɯ̥.kɯ̥.ɾa.ɾe.te.i.ma.sɯ] | 「すごい」より具体的で、相手の努力を示す |
| 接客(混雑を説明) | 否定的状況の強調 | 本日は非常に混み合っております。 | ほんじつは ひじょうに こみあっております。 | [hoɴ.dʑi.t͡sɯ̥.wa çi.dʑoː.ni ko.mi.aʔ.te o.ɾi.ma.sɯ] | 状況を客観的に説明し、謝意につなげやすい |
| 社内(部下をほめる) | 能力を評価 | よく準備されていますね。安心しました。 | よく じゅんび されていますね。あんしん しました。 | [jo.kɯ dʑɯɴ.bi sa.ɾe.te.i.ma.sɯ.ne aɴ.ɕiɴ ɕi.ma.ɕi.ta] | 行動を具体的にほめて、次の行動を促す |
| 社外(成果報告への反応) | 感謝・感心 | 大きな成果ですね。助かりました。 | おおきな せいか ですね。たすかりました。 | [oː.ki.na seː.ka de.sɯ.ne ta.sɯ.ka.ɾi.maɕ.ta] | 成果の内容を示しつつ、感謝を明確にする |
| 同僚間(日常会話) | 驚き・感心 | 思ったより早く終わりましたね。驚きました! | おもったより はやく おわりましたね。おどろきました! | [o.moʔ.ta.jo.ɾi ha.ja.kɯ o.wa.ɾi.maɕ.ta.ne o.do.ɾo.ki.maɕ.ta] | 感情をそのまま伝え、距離を近づける |
「すごい」は形容詞ですが、副詞的に「すごく〜」の形で使われることが多くなっています。
副詞化が進んだ結果、「すごい」を使えば多くの感情をまとめて表せる便利な言葉になりました。
ただし、文法的にも意味的にも抽象度が高いため、学習者にとって意味の特定が難しい語です。
そのため、言い換えの基本方針は:
「何が」「どのように」すごいのかを明示する。
文型のポイントは次のとおりです。
例:
