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ことばを言い換えよう① 「ちょっと待って」を相手に合わせて言い換える

Kotoba Drill スタッフ

今日のテーマ

「少々お待ちください」(Please wait a moment)は、相手に短い停止をお願いするときに使います。ただし「止まってください」と直接告げる形になるため、強く響くことがあります。より丁寧に伝えるには、相手や状況に合うやわらかな表現を選びましょう。


なぜ言い換える?(論理)

「少々お待ちください」には次の要素が含まれます。

要点内容
相手の動作を止めるすぐに行動を止めてもらう。
自分中心の都合一時停止は自分側の都合のため。
情報不足理由や所要時間が不明確。

そのため、相手は「なぜ止めるの?」「どれくらい?」「立場が弱くなる?」と感じることがあり、強く(あるいはぶっきらぼうに)聞こえます。言い換えは、尊重と配慮を伝える助けになります。


3つの方向でやわらかくする

言い換えは語を差し替えるだけではありません。文の“機能”を変えると、ぐっとやわらかくなります。

方向目的日本語の例読み(かな)読み(IPA)
「お願い」にする協力をお願いする「少々お待ちいただけますか。」(少しお待ちください)しょうしょう おまち いただけますか[ɕoːɕoː o matɕi itadakemasɯ ka]
さらにやわらかなお願いいっそう丁寧にする「もう少しお時間をいただけますか。」(もう少しお時間いいですか)もう すこし おじかん を いただけますか[moː sɯkoɕi o dʑikaɴ o itadakemasɯ ka]
「確認」にする相手の都合を尊重する「今、お時間よろしいですか。」(今お時間大丈夫ですか)いま、おじかん よろしい ですか[ima o dʑikaɴ joroɕiː desɯ ka]
「理由」を添えるなぜ止めたいかを共有「ファイルを確認したいので、少しお時間をください。」ふぁいる を かくにん したい ので、すこし おじかん を ください[ɸaiɾɯ o kakunʲiɴ ɕitai no de sɯkoɕi o dʑikaɴ o kɯdasai]
Note

IPAは学習の目安です。実際の会話では一部の音が自然に弱くなります(例:「です」の/s/など)。


場面別の使い方

状況・意図・適切な言い換え・理由を対応させて理解を深めます。

場面伝えたいこと適切な言い換え(日本語)読み(かな)読み(IPA)理由
仕事/サービス少し止まってほしい「少々お待ちいただけますか。」しょうしょう おまち いただけますか[ɕoːɕoː o matɕi itadakemasɯ ka]命令ではなくお願いになる。
相手が忙しそう先に都合を確認「今、お時間よろしいですか。」いま、おじかん よろしい ですか[ima o dʑikaɴ joroɕiː desɯ ka]止める前に相手の時間を尊重。
整理したい理由を伝える「要点を整理したいので、少しお時間をください。」ようてん を せいり したい ので、すこし おじかん を ください[joːteɴ o seːɾi ɕitai no de sɯkoɕi o dʑikaɴ o kɯdasai]理由があると受け入れやすい。
オンライン会議短い時間を確保「この点を確認したいので、30秒いただけますか。」この てん を かくにん したい ので、さんじゅう びょう いただけますか[ko no teɴ o kakunʲiɴ ɕitai no de saɴdʑɯ bjoː itadakemasɯ ka]時間が明確だと不安が減る。
親しい友人くだけた言い方「ちょっと待ってて。」ちょっと まってて[tɕotto matte te]親しい間柄ではカジュアル可。
お店ですぐ案内を約束「すぐにご案内しますので、少々お待ちください。」すぐに ごあんない します ので、しょうしょう おまち ください[sɯgɯ ni go aɴnaːi ɕimasɯ no de ɕoːɕoː o matɕi kɯdasai]次の行動を示すと安心して待てる。
緊急時安全最優先「危ないので、止まってください。」あぶない ので、とまって ください[abɯnai no de tomatte kɯdasai]安全では直接的な表現が必要。
Callout

カジュアルな「待ってて」は親しい相手に限り、仕事や公共の場では丁寧なお願いや確認に言い換えましょう。


ミニ対話(練習)

以下の日本語例はすべて「。」で終わります。声に出して練習しましょう。

1)窓口で

A:「提出前に、もう一度確認したいです。少々お待ちいただけますか。」 B:「はい、わかりました。」

2)オンライン会議

A:「画面が固まっています。30秒ください。原因を確認します。」 B:「わかりました。待ちます。」

3)友人と

A:「飲み物を取ってくるね。ちょっと待ってて。」 B:「うん、いいよ。」


A2学習者のコツ

  • 「理由+お願い」で、丁寧に聞こえる。
  • 時間を添える(例:「30秒いただけますか。」)。
  • 先に都合を確認(例:「今、よろしいですか。」)。
  • 緊急時は短く明確に、安全を優先。
Note

基本は「〜てください」。ビジネスでは「〜ていただけますか。」の方がやわらかい。


避けたい言い方(状況により)

  • 理由なしに「少々お待ちください」だけを言う。
  • 強い口調で「待ってください」を繰り返す。
  • 相手の発話を遮って止める。

まとめ

  • 「少々お待ちください」は相手を自分の都合で止めるため、強く響くことがある。
  • 文の“機能”を変える:お願い / 確認 / 理由を添える。
  • 理由や時間を加えて、協力を得やすくする。

— 次回:「できません」をやわらかく。相手を傷つけない断り方。

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