<- Back to blog

ことばで知る日本のくらし① なぜ日本人は家に入るとき靴を脱ぐの?

Kotoba Drill スタッフ

今日のテーマ

日本では、家に入るときに靴を脱ぐのがふつうです。 外国では、靴のまま家に入る国もあります。 では、なぜ日本では「靴を脱ぐ」のでしょうか? この習慣には、日本語のことばと、考え方が関係しています。


今日のことば

日本語よみかた意味・使い方
玄関げんかん([ɡeŋkaɴ])家の入口。靴を脱ぐ場所。外と内を分けるところ。
お邪魔しますおじゃまします([odʑamaɕimasɯ])人の家に入るときのあいさつ。「少し迷惑をかけますが失礼します」という気持ち。
お上がりくださいおあがりください([o aɡaɾi kɯdasai])「どうぞ中に入ってください」というていねいな言い方。
土足どそく([dosokɯ])靴をはいたまま。日本では「土足禁止」という言い方がある。
スリッパすりっぱ([sɯɾippa])部屋の中で使う軽いくつ。外と内の“あいだ”の道具。

文化メモ:「外」と「内」を分ける考え方

日本の「玄関」は、ただの入口ではありません。 そこは「外」と「内」をはっきり分ける場所です。

日本語には「内(うち)」と「外(そと)」を分けることばが多くあります。

  • 内(うち):家族・会社・仲間など、自分が属する世界
  • 外(そと):お客さん・外の人・他の組織

この「内と外を分ける気持ち」は、靴を脱ぐ行動にもあらわれます。 玄関で靴を脱ぐのは、「外の汚れを家に入れない」ためだけではありません。 同時に、心を切り替えてリラックスする準備でもあります。


文法ポイント:「お〜ください」

日本語では「お+動詞のます形+ください」で、ていねいにお願いをします。

構成:

お + 動詞のます形 + ください
例:お + 上がり + ください → お上がりください

使い方:相手に行動をお願いするときの表現です。 「上がる」は玄関では「家の中へ入る」という意味になります。 「お上がりください」は、ただの「入ってください」より、相手を大切にして招く響きがあります。

例:

  • 「どうぞ、お上がりください。」(家の人が言う)
  • 「お待ちください。」(お店や病院でよく聞く)

文化と言葉のつながり

文化的行動対応する日本語表現背景
玄関で靴を脱ぐ「お邪魔します」「お上がりください」外と内を分ける意識・清潔さ
室内でスリッパを使う「どうぞ、スリッパをお使いください」清潔を保ち、気持ちよく過ごすため
家に入る前に声をかける「失礼します」相手の“内”に入る許可をもらう

今日のまとめ

  • 日本には「外」と「内」を分ける文化がある。
  • 「玄関」は、その境界をあらわす場所。
  • 「お上がりください」「お邪魔します」には、相手への配慮と敬意がある。
  • 文法「お〜ください」は、ていねいにお願いする形。

次回:ことばで知る日本のくらし②
お辞儀の種類と意味 ― どんな時に軽く頭を下げる?

ほかの記事